自首と出頭
刑法第42条
1 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
「自首」(刑法第42条1項)とは、犯人が捜査機関に対し、自発的に自己の犯罪事実を申告し訴追を求めることです。
規定の趣旨としては以下のとおり
- 犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にするため
- 国家の刑事訴訟手続きに要する時間と経費の浪費を防ぐため
- 犯人の改心による非難の減少などにより自首減軽をすることができる
一方出頭とは、犯人が捜査機関等へ出向くこと全般を指します。よって、犯人が出頭しただけでは刑の減軽は受けられず、あくまで刑法第42条1項の自首の要件に当てはまる場合に受けられます。
ちなみに、自首自体は出頭することが要件ではないため、警察に電話等ですることも可能です。
出頭は法律上の規定がなく、法律上の減軽はありませんが、出頭した事実を基に酌量減軽(刑法第66条)される余地はあります。
自首に対するよくある勘違い
発覚する前
ここに言う「発覚する前」とは、犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合と、犯罪事実は発覚しているがその犯人が誰が発覚していないを指します。
よって、警察が犯人を特定し、捜査し始めてから出頭をしても自首とはならず刑の減軽を受けることはできません。
任意的減軽(裁量的減軽)
刑法第42条1項に「その刑を減軽することができる」と記載のあるとおり、刑を減軽するかどうかは裁判所(裁判官)に委ねられています。なので、自首をしてもその点を考慮されず罪が軽くならない可能性もあります。ドラマなどでは「自首をすれば懲役が短くなるぞ!」という表現が使われることがありますが、必ずしもそうとは限らないことに注意しましょう。
ちなみに、任意的減軽に対し、必ず刑が減軽される規定を「必要的減軽」と呼びます。
「刑の減軽」については以下の記事を併せてご覧ください。
コメント