民法第94条(虚偽表示)
1 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
民法における「善意」とは、ある事実についてその人が知らないという意味です。一方対義語の「悪意」は、ある事実について知っているという意味です。
日常において「善意」と言えば「良い心、親切な心」を、「悪意」と言えば「悪い心、害を与えようとする気持ち」を指しますが、法律用語としての用法の場合そこに道徳的な善悪の判断はなく、ただ事実を示す言葉として使われます。
「善意の第三者」と聞くと凄く優しいヒーローのような存在にも感じますが、実際は単に事実を知らず、かつ問題となっている法律関係の当事者ではない人に過ぎません。※厳密には条文によって解釈が異なる
上記民法第94条は、通謀虚偽表示は無効だが、それにより不利益を被る保護すべき「善意の第三者」がいる場合は、例外としてその「善意の第三者」に対して無効であることを主張できない、という条文です。
ちなみにこの「善意の第三者」、とある大阪の金貸しを題材にした漫画では「ワシは善意の第三者やぞ!!!」といった感じにカタギではない人が使います。
・・・誰がどう見ても「悪意の当事者」です。本当にありがとうございました。
さらにちなむと、民法初学者が日常会話で使いたがる用語ベスト3に入ります。この言葉を学びたての人は、ことあるごとに
「すまん、そのことはLINEを見てなくて善意だった。」
「かー!課題の提出期限昨日までだったか―!善意だったわー!善意だったから単位落としたわー!」
なんて言ってきます。
ただでさえ聞きたくない言い訳のウザさに拍車がかかってますね。
・・・「善意」という単語自体、日常の意味でも「善意でしてあげたのに」のように恩着せがましく使われるのがほとんどであるため、3回言われるたびに一発ビンタしても良いのではないかと思われます(嘘です)。
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