突然裁判所から郵便が
ある休日、家でのんびりしていると玄関のチャイムが・・・。しっかりと本人確認をされ、サインをした上で郵便を受け取りました。
「書留郵便じゃなくて特別送達?初めて聞く郵便だけどやけに厳格だったなー」と思いつつ封筒に目を落とすと・・・なんと裁判所から。
おそるおそる中を確認してみると「被告 ○○様」という文字が!「え!?犯罪なんてしてないのに!これから逮捕されちゃうの!?」
いいえ、この場合は民事訴訟なので逮捕されることはありません。
民事=被告 刑事=被告人
民事訴訟(民事事件)とは、人と人、会社と人などの私人間の紛争を解決するための手続です。民事訴訟の場合、あくまで当事者のトラブル解決のための手段であり、その多くは金銭の請求となります。
一方刑事訴訟とは、起訴された被告人が犯罪行為を行ったか、刑罰を科すべきか等について判断するための手続です。こちらは警察・検察により逮捕・勾留され、最終的に裁判所から懲役刑や罰金刑を宣告されたりします。
そして、民事訴訟では裁判所に訴えを提起した人を「原告」、原告に訴えられた人を「被告」といい、刑事訴訟では、裁判所に公訴を提起する人を検察官、検察官に訴えられた人を「被告人」といいます。
誤解はマスコミの呼び方にあり
なので、被告と被告人は民事裁判と刑事裁判の違いであり、全く異なる性質のものです。ではなぜ勘違いする人が多いかと言うと、それはマスコミの報道によるものかと思います。
マスコミでは、本来「被告人」と呼ぶべき刑事事件で起訴された人のことを、「○○被告」と呼びます。前述したように、「被告」と呼ぶのは民事裁判で訴えられた方の人であるため、これは法律用語としては正しくありません。
ちなみにマスコミがよく使う「容疑者」も正しくは「被疑者」です。これらは俗にマスコミ用語と言われたりします。
- マスコミの場合 容疑者(起訴前)→被告(起訴後)
- 正しい法律用語 被疑者(起訴前)→被告人(起訴後)
つまり「被告」になっても、それは犯罪者になってしまったということではないので、当然逮捕や勾留される心配もありません。
誰でも被告になる可能性がある
ところで、普段生きているうえで裁判に馴染みがある方は少ないでしょう。ですが「被告」になる可能性、すなわち民事訴訟に巻き込まれる可能性は誰にでもあります。
例として挙げると
- 近所トラブル全般
- 酔って人の物を壊した
- 飼い犬が人に怪我をさせた
- カードの支払いの滞納
- 家賃不払い
などです。
この場合、事前に連絡もなく自宅に裁判所から訴状が送達されてきます。
たしかに民事訴訟であれば、上述のように逮捕、身柄の拘束をされることはありません。ですが、請求を無視したり適切な対応を取らないと、銀行口座の差押え、会社からの給料の差押えなど、自分の有する金銭に対し強制執行を受けることになりかねません。
もし突然「被告」になってしまったら、まずはちゃんと訴状の中身を確認し、必要があれば弁護士など法律の専門家に相談しましょう。
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
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