「公務員になるからには官僚として政策の企画立案に携わり、国の中枢で働きたい!」
そう考えている方も多いことでしょう。実際、私の周りでも上記のような思いを胸に抱き、中央省庁に行った知人が何人かいます。
しかし、その職場環境はお世辞にも良いものとは言えませんでした。
本記事は官僚になった知人達から聞いた内容を、私見を交えつつまとめたものとなります。 国家総合職だけではなく、国家一般職からも話を聞いているので、志望区分を問わず中央省庁に興味を持っている方の参考になればと思います。
それでは見ていきましょう。
中央省庁の忙しさは異常
この問題は世間的にも言われてますが、やはり尋常ではない忙しさのようです。この点については全員異口同音でした。
たまーに定時や夜の7時8時に帰れる日もあるものの、国会対応のための答弁書作成や国会議員向けのレク、上司へ決裁を仰ぐ際に必要になる参考資料の添付などにより、夜の12時を回ることも多々あります。
タクシーがあるので終電がなくなっても家に帰ることはできますが・・・。
毎日6時間は睡眠時間を確保しないと体調が良くなくなる、という人はそのうち体を壊しかねません。
2021年6月10日のYahoo!ニュースでは「過労死ライン6532人の衝撃――「ブラック霞が関」の実態と、待ったなしの働き方改革」と、多くの官僚が過労死ラインである月80時間以上の残業をしている実態が取り上げられています。
とても「自分が国を変えていく」という気概だけではこの長時間労働をやっていけないでしょう。
ちなみに特に残業が多い以下の省庁では次のような呼び名が面白おかしく付けられています。
- 厚生労働省→強制労働省
- 経済産業省→通常残業省(旧通商産業省から)
- 財務省→ホテル大蔵(忙しくて泊まり込みになる事が多いため、某ホテルと旧大蔵省を掛け合わせられた)
どの省庁も大変ですが、どうやらこの三省は殿堂入りのようです。
ちなみにですが、全員自身の忙しさをひとしきり述べた後「でも○○省に比べたらまだマシな方だと思うよ!」と他省庁よりはいい労働環境である旨述べていたことをここに付言しておきます・・・。
官僚という仕事にやりがいはある!(個人差あり)
一方、自分の携わった政策により日本を支えていくという点ではやりがいを感じているそうです。
国民の生活をより豊かに、そして暮らしやすい国にするのは国の中枢で働くことができる官僚にしかできない特権であると。
また、上から沢山の仕事を任され成長できることもこの仕事の魅力です。これは長時間労働と表裏一体ではありますが、重要な仕事でも自分たち若手・中堅職員が中心となって動くため、自主的に周りの助けを借りたり情報をテイクしながら仕事を進める必要がありとても鍛えられます。
この経験は自身の糧となり、大きく成長している実感を得ることができているそうです。
ただ、これはあくまでその話をしてくれた国家総合職のキャリアの場合。ノンキャリアとして働いている知人はこれからのキャリアパスや待遇などを考えてしまい、現状やりがいを見いだせていないようです。また、他のキャリアの知人も幹部職員や議員の御用聞きのような仕事内容に辟易としており、どこかのタイミングで退職することを考えているようでした。
なのでやりがいはあるが、結局のところは人によるといった形ですね。
わがまま議員の対応・上に媚び下に厳しい上司のお守り
国会議員にも様々な方がいます。
- 深夜に答弁書や質問通告を当然のように振ってくる議員
- 気に入らない発言に対し怒鳴ってくる議員
- 定時以降に担当者が帰宅していることに対しキレる議員
理不尽の極みですね。
また職場内である上司もイカれた人が少なくないそうです。
- やることなすことパワハラな人
- 部下に仕事を丸投げし、自分は何もせず手柄だけ取っていく人
- 議員や幹部職員に言っていたことと部下に対して言うことがまるっきり違う人
段々書いているこっちが嫌になってきました・・・。
どの職場であってもそういった人は一定数いますが、話を聞く限り中央省庁はその数が多そうです。過酷な省庁でメンタルを壊したり辞めたりせずに出世する人はそういう人ばかりということでしょうか?
そもそも内部職員である上司が国会議員の圧力から守ってくれないばかりか、その腰巾着になってしまっているのはなんとも悲しいことですね・・・。
長時間労働をやり抜く自信がない人は一旦再考を
「公務員になるからには官僚として政策の企画立案に携わり、国の中枢で働きたい!」という考えは素晴らしいですし立派ですが、やりがいだけでは仕事を続けていくことはできないのも事実です。
また、私の知人達は内定時には皆仕事に対して大志を抱いていましたが、いざ働き始めるとやりがいを見いだせなくなる人もいました。職場内でも、どこかで民間企業や県庁などに転職しようと考えている人は少なくないそうです。
なので、将来定年まで勤務することを前提に官僚になるのはリスクが大きいかもしれません。
ちなみに中央省庁で働いている職員は、基本的に以下のような分類です。
- 国家総合職採用の職員
- 国家一般職で本省採用された職員
- 国家一般職で出先機関採用だが、出向してきた職員
- その他地方自治体などから出向してきた職員
この中で出向組に関しては仕方のない部分があります。
なまじ勤務成績や態度が評価されると、あるとき
「〇〇さん、君を××省へ出向させるって話があるんだが、どうかな?」
と急に言われる可能性があるので。そしてこの話を断るのは相当大変です。
もっとも、この場合は通常2、3年で元の機関に返してもらえることが多いので、忍耐強く耐えれば中央省庁勤務は終わります。
一方、国家総合職及び国家一般職の本省採用はその逆、原則中央省庁勤務なので、「本省が辛い…!」となっても中々仕事を変えてもらうことはできないです。
特に国家一般職の場合は国家総合職採用の人との待遇比較などでより苦しくなる可能性もあります(下記記事で詳しく解説しています)。
国家総合職、一般職の本省採用を検討している人は、今一度自己分析・省庁分析を行い、本当に中央省庁で働きたいのか、後悔しないかなどを熟考してみましょう。
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
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